PKD腎臓内科クリニック

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院長ブログ

⽔分のはなし

2022/03/17

~2つのサインを見逃さないように~

私はよく診察室で「水分をしっかり摂ってください」という話をします。それには理由があるからです。

皆さん、水分は1日にどれくらい摂っていますか?
尿に色はついていますか?

500mlのペットボトル1本分くらいしかとっていない、という方もいるでしょう。
そういう方はのどは乾きませんか。
尿の色はいつも濃いのではないでしょうか。

まず、1日のおしっこの量(尿量)を考えてみましょう。どのくらいでしょうか。
実は、1日の水分摂取量とほぼ同じになります。

体の中に入ってくる水分は、飲んだ水分量だけではなく「食事に含まれる水分」と「体の中で作られる水分(代謝水と呼ばれます)」もあります。
ただ、その合計は「汗など皮膚から出てくる水分や肺から出てくる水分(不感蒸泄と呼ばれます)」と「便の中に出てくる水分」の合計とほぼ等しいといわれています。

したがって、
1日の尿量 ≒ 1日の水分摂取量
と考えられるのです。

腎臓が働いてくれている限り、皆さんがのどの渇きに合わせて適当に水分摂取をしたとしても、尿量を調整してくれています。
では実際に、腎臓はどのように調整しているのでしょうか?

人は身体の水分が少なくなると、喉の渇き(口渇)を感じさせるとともに、身体から水分を出さないようにします。そのセンサーは血管のいろいろなところにあって、血液の量と血液の中の圧力(浸透圧)というものを感知します。脱水になって血液量が少なくなったり、塩分の濃いものを多く食べたときには血液中の浸透圧が上がります。すると、センサーからの指令を受けて脳の下垂体という組織からバソプレシンという尿を出さないようにするホルモン(抗利尿ホルモン)を出します。

そのホルモンは、脳の口渇中枢というところにその指令を伝えて、人の飲水行動を促します。汗を沢山かいた時はのどカラッカラになって水を飲みたくなりますよね(血液量が少なくなっています)。また、梅干しを食べた時、水分が欲しくなりますよね(塩分のために血液の浸透圧が上がっています)。

喉の渇きは、身体の水分が不足しているというサインです。
喉の渇きを感じたら、すかさず水分を摂りましょう。

もう一つ重要なサインがあります。
バソプレシンは腎臓に働いて尿を出さないようにして、身体の水分を保つようにします。尿を出さないようにすると書きましたが、正確には尿の中の水成分だけを少なくします。人は生きていくために体の中でいろいろなものを作ったり、壊したりしています。いらなくなったものは便や尿で排泄しています。尿は一定量の老廃物を水を通して排泄しています。老廃物はいろいろな成分が混ざっているので、それなりの色も付くし、臭いもします。一緒に出ていく水分が多ければ、その色は薄く、臭いも少なくなります。ウイスキーのストレートと水割りの色の違いを想像してください。ウイスキーの成分は変わらないのに見た目(色)は違います。お酒を飲まない方は、市販の濃縮された“そばつゆ”を想像してみてください。薄め方によって色も味も変わってきます。尿も同じで、老廃物の量は変わらないのに含まれている水分量によって尿の色が変わってくるのです。

朝起きた時の尿が濃いですよね。なぜでしょうか。寝ている間は水分を摂ることはできません。そのため、脳(下垂体)からバソプレシンが分泌されて、尿を濃縮してるのです。

もうお分かりですね。
尿の色が濃い時は、身体の水分が足りなくなっているサインです。

ADPKDの患者さんではバソプレシンの刺激により嚢胞が⼤きくなることが知られています(これに関してはいずれ詳しく説明します)。したがって、ADPKDの患者さんは水分摂取が特に大切になります。

腎機能が低下している患者さんでも、水分摂取はとても大事です。脱水になってバソプレシンがたくさん出てくると腎臓のろ過装置である糸球体に負担をかけることもわかっています(これもいずれ詳しく説明します)。

2つのサイン、「喉の渇き」と「尿の色」を意識してみてください。

【補足1飲み物としては、純粋な水成分の補給が目的なので、水やお茶が望ましいですが、カロリーや塩分の多く含まない炭酸飲料やスポーツドリンクでも構いません。
ただし、以下の飲み物は純粋な水成分補給にはならないので注意が必要です。

甘いジュースや(熱中症予防用)塩分補給水は、飲むと血液の浸透圧が上がり、余計に喉が渇きます。必要な時だけにしましょう。またアルコールやコーヒーは利尿作用がありますので、水成分の補給にはならないと考えましょう。

【補足2】腎臓の働きがすでに悪くなっている方(透析している方)やむくみのある方は、水分を制限する必要があります。⽔分の摂取量については、主治医の先⽣に確認してください。

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