eGFRのはなし(18)~健診でeGFRが低いと言われたら? 日本の受診目安~
2026/05/01
健康診断で「eGFR 60未満」と指摘されると、医療機関を受診したほうがよいのか、迷われる方もいると思います。
高血圧、糖尿病などを指摘された場合は、迷わず受診すべきです。
では、高血圧や糖尿病などの持病がない場合、「eGFR 60未満」という結果をどのように考えればいいのでしょうか。
今回は、健診でeGFR低値を指摘された場合の受診の目安について、日本の基準をもとに考えてみます。
■eGFR 60 未満のとき、どうすればいい?
eGFRが60を下回ると、健診結果には、「D:医療機関受診」ではないものの、「C:経過観察」と判定されることがあります。
中には「C3、C6」など、3か月後、6か月後の再検査を奨められる形で記載されることもあります。
日本腎臓学会の「CKD診療ガイドライン2023」では、健診受診者に対して医療機関への受診勧奨を行う基準が示されています。
【健診で異常を指摘された場合の受診勧奨】
1.尿蛋白(1+)以上
2.尿蛋白(±)が2年連続で続いている
3.eGFR 45 未満
4.40歳未満ではeGFR 60未満
これをフローチャートにまとめると、次のようになります。

ここから分かることは、次の2つです。
▪蛋白尿があれば、eGFRにかかわらず受診が勧められる。
▪蛋白尿がなく、40歳以上で、eGFRが45以上の場合は、受診ではなく経過観察となる。
つまり、eGFRが60未満であっても、尿蛋白がなく、eGFRが45以上であれば、健診判定が「D」ではなく「C」になることがある、ということです。
■尿検査の異常は特に重要
さらに「CKD診療ガイド2024」(日本腎臓学会)では、「かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準」として、尿検査について次の項目が更新されています。
【尿検査の基準】
「尿蛋白0.50g/gCr(もしくは1+)以上」
「尿蛋白(±)かつ尿潜血(1+)以上」
尿試験紙だけで判定すると、尿が濃いだけでも陽性になってしまうことがあります。
そのため、尿蛋白の量を測定し、尿クレアチニンで補正して評価します。
尿蛋白だけでなく、尿潜血が追加されたのは、IgA腎症など慢性糸球体腎炎などでは、病気の初期には尿蛋白は目立たず、尿潜血がみられることが多いからです。
したがって、尿蛋白や尿潜血が認められた場合には、腎機能、eGFRに関わらず、専門医紹介の対象になります。
■腎機能の急速な悪化にも注意が必要
「かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準」として、もう一つ「急速な腎機能の悪化」という項目も追加されました。
【腎機能の急速な悪化の基準】
「3か月以内にeGFRが30%以上低下」
ただし、通常の健診は3か月ごとに受けるものではありません。
そのため、この基準は主に、かかりつけ医などで定期的に検査を受けている方において、急性腎障害などを早めに見つけるための目安と考えられます。
■まとめ
健診でeGFR 60未満と指摘されても、それだけで腎臓病と考える必要はありません。
ただし、気にしなくていいというわけでもありません。
「eGFR 60未満」という結果は、腎機能を見直すきっかけになります。
大切なのは、1回のeGFRの数値だけで判断するのではなく、尿蛋白や尿潜血の有無、年齢、過去からのeGFRの変化、さらに体格・筋肉量や健診時の脱水の有無なども合わせて考えることです。
日本の受診勧奨基準では、尿蛋白や尿潜血がある場合、eGFRが45未満の場合、40歳未満でeGFR 60未満の場合、短期間でeGFRが大きく低下している場合には、医療機関への受診が勧められています。
次回は、この日本の基準を国際的な基準と比べてみます。

