PKD腎臓内科クリニック

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院長ブログ

eGFRのはなし(19)~国際基準でみた腎臓専門医受診の目安~

2026/05/10

前回は、健診でeGFRが低いと言われた場合の受診の目安について、日本の基準をもとにお話ししました。

今回は、国際的な基準ではどのように考えられているのかをみていきます。

 

■国際的な基準ではどうなっているか

国際的ガイドライン(KDIGO 2024 ガイドライン)(文献1)では、CKD G3〜G5の方に対して、腎不全リスク予測式を用いて将来の腎不全リスクを推定することが推奨されています。

さらに、5年後の腎不全リスクが3〜5%以上である場合、腎臓専門医への紹介を考える目安になるとされています。

ここでいう腎不全リスクとは、将来、透析や腎移植が必要になる状態に至るリスクのことです。

このリスクを計算する代表的な方法に、

腎不全リスク予測式(Kidney Failure Risk Equation;KFRE)(資料2)

があります。

今回は、実際にこのKFREを使って、どのような結果になるのかを試してみました。

【KFREの入力方法】

1.年齢

2.性別

3.地域(Non-North Americaを選択します)

4.eGFR

5.尿アルブミン/クレアチニン比(mg/g)

(*日本の健診で尿アルブミンが測定されることはないので、尿蛋白陰性の場合は、A1の上限である29 mg/gを用いて入力してみました)

入力後、次の画面で追加項目を入力する画面が出ますが、詳細は不明なことが多いため、今回は「No, SKIP THIS STEP」を選択しました。

すると、CKDステージとともに、2年後と5年後に末期腎不全、すなわち透析あるいは移植が必要になるリスクが表示されます。

 

■G3aA1における腎不全リスクのシミュレーション

CKD分類では、eGFR45~59がG3a、尿蛋白/クレアチニン比0.15g/gCr未満あるいは尿アルブミン/クレアチニン比30 mg/g未満がA1に相当します。

今回は、G3aA1の範囲内で腎不全リスクが最も高くなりやすい条件として、

▪eGFR 45 mL/min/1.73m²

▪尿アルブミン/クレアチニン比 29 mg/g

を想定し、入力してみました。

つまり、G3aA1の中ではかなり厳しめの条件で計算したことになります。

グラフの縦軸は、5年後に末期腎不全に至る「5年リスク」の割合(%)を示しています。

 

1.年齢別にみた場合

【結果】

▪男性のほうが、リスクが高いことがわかります。

▪年齢が上がるほど、リスクが下がります。

▪しかし、いずれも紹介基準である3~5%に達していません。

同じeGFR、同じ尿アルブミン量で比較すると、若い方のほうが5年以内に腎不全へ至るリスクは高く計算されます。

これは、「若い年齢で同じ程度の腎機能低下や尿アルブミンがある場合、将来の腎不全リスクは高めに評価される」と考えると理解しやすいと思います。

 

2.eGFR別にみた場合

次に、年齢を35歳、尿アルブミン/クレアチニン比29 mg/gとして、eGFRを変えて比較しました。

【結果】

▪eGFR 45では、5年リスクは3%未満でした。

▪eGFR 40では、5年リスクが3%を超えました。

この結果は、日本の基準で「eGFR 45未満」が受診勧奨の目安になっていることとも、概ね一致する結果と考えられます。

 

3.尿アルブミン別にみた場合

次に、年齢を35歳、eGFR 45として、尿アルブミン/クレアチニン比を変えて比較しました。

【結果】

▪尿アルブミンが29 mg/g、つまりA1の範囲内では、5年リスクは3%未満でした。

▪一方、尿アルブミン100 mg/gになると、5年リスクは3%を超えました。

(尿アルブミン30~299 mg/gがA2に相当します)

つまり、eGFRが同じであっても、尿アルブミンが増えると、将来の腎不全リスクは明らかに高くなります。

 

■まとめ

国際的な基準では、eGFRの数値だけではなく、将来の腎不全リスクを計算して評価する考え方が取り入れられています。

今回の計算では、G3aA1、つまりeGFR 45〜59で尿アルブミンが30 mg/g未満の範囲内であれば、5年腎不全リスクは比較的低いことがわかりました。

一方で、eGFRがさらに低い場合や、尿アルブミンが増えている場合には、リスクは上昇します。

つまり、国際的な基準でみても、日本の基準で示されている「eGFR 45未満」や「尿蛋白あり」を重視する考え方は、受診勧奨の目安として概ね適切と考えられます。

 

次回は、健診で受診推奨の基準に該当せず、経過観察とされた場合についてお話します。

 

【文献・資料】

1.KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease.Kidney International, Vol. 105, Issue 4S, 2024

2.腎不全リスク予測式(Kidney Failure Risk Equation;KFRE)計算サイト

https://ckdpcrisk.org/kidneyfailurerisk/

 

 

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