eGFRのはなし(21)~最終話・前編:健診結果から腎臓病を考える~
2026/05/25
これまで、eGFRについていろいろな角度からお話ししてきました。
前回、次回は最終回としてまとめる予定とお伝えしましたが、内容が長くなるため、2回に分けて整理することにしました。
今回は「eGFRのはなし」のまとめの前編として、健診結果から腎臓病をどのように考えればよいのか、他の病気と比較しながら考えてみます。
■病気の診断過程
病気はどのように診断されるのでしょうか。
健診では無症状のうちに病気が見つかることがあります。
例えば、がんや糖尿病の場合です。
1.がん
がん検診で異常が見つかった場合は、画像検査や内視鏡検査、必要に応じて病理検査などを行います。
実際に病変があるかどうかを確認し、診断がつけられていきます。
2.糖尿病
血糖値やHbA1cに明らかな異常がある場合は、血糖調節に問題があることが直接的に示されます。
そのため、再検査などで確認しながら診断につなげていきます。
■CKDの場合~本当に腎臓に問題があるのか?~
一方で、CKDの場合は少し事情が異なります。
健診で「腎機能低下」とされる多くの場合、その根拠は血清クレアチニンから計算されたeGFRです。
eGFRは腎臓の働きを推定する大切な指標ですが、腎臓そのものに病気があることを直接示しているわけではありません。
健診で1回eGFRが低かっただけでは、本当に腎臓に病気があるのか、一時的な変化なのか、筋肉量や脱水などの影響で低く見えているのかは、まだ判断できません。
したがって、健診でのeGFR低下は、CKDが「見つかった」と考えるよりも、まずはCKDが「疑われた」サインと考える方が適切です。
そのサインが本当に腎臓病を意味しているのかを確認することが、CKDを正しく判断するうえで重要です。
■CKDは一つの病気ではない
CKDは、「がん」や「糖尿病」のような一つの病気の名前ではありません。
「心臓病」や「肝臓病」などと同様に、腎臓に病気がある、あるいは腎臓の働きが低下している状態を表す言葉です。
したがって、私たち腎臓内科医は、CKDを一つの病気と捉えて診療するわけではありません。
eGFRの低下や尿異常の背景に、原因となる「腎疾患」があるのかどうかを考えながら診療を進めていきます。
■まとめ
eGFRは、腎臓病が本当にあるのか、あるいは経過をみてよい状態なのかを考える「入口」になります。
大切なのは、尿蛋白や尿潜血の有無、糖尿病や高血圧の有無、過去からのeGFRの変化、体格・筋肉量、健診時の脱水の有無などを合わせて、本当に腎臓病と考えるべき状態なのかを確認することです。
次回は最終話の後編として、eGFR低下や尿異常の背景にある腎疾患について、もう少し具体的にみていきます。

