多発性嚢胞腎のはなし(1)~なぜ嚢胞ができるの?~
2022/05/06
今回から少しの間 “多発性嚢胞腎” についてのはなしをしていきます。
嚢胞とは液体が入った袋で、体のいろいろなところにできます。
袋を作っている壁(細胞)はもともと人間が持っている体の一部で、腎臓では尿細管の、肝臓では胆管のものです。
“がん”のように悪性に変化したものではありません。
液体が流れていた管が何らかの理由で膨らみ、液体が溜まってしまったものです。
では、なぜ嚢胞ができるのでしょうか。
唐突ですが、家などの建築物はどのように作られますか。
そこには設計図があるはずです。
正しい設計図のもとに作られないと、しっかりとした家はできません。
人間のからだにも設計図があります。
それが遺伝子です。
例えば、血管などの “管” の太さも遺伝子により精密に設計されており、それによって血液はスムーズに流れます。
腎臓では、血液から糸球体で濾過された最初の尿(原尿)が尿細管を通って、最終的に尿管に流れていきます。
(詳しくはホームページの診療案内・腎臓くんのお仕事を参照ください)
血管と同様、“管” である尿細管の太さも遺伝子によって決められています。
しかし、遺伝子に異常(変異*1)が起こり、間違った設計図が作られると、その太さが調節できなくなり、その部分が膨らんできます。
膨らんだ尿細管は次第に袋状になり、もとの尿細管から切り離され、完全に袋として独立します。それが嚢胞です。
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)では、これらの嚢胞がさまざまな刺激によって “成長” して大きくなっていきます。
【まとめ】
ADPKDの嚢胞は、尿細管の太さを調節する遺伝子*2(設計図)の変異により作られ、さらに成長していきます。
少し難しい話が続くので、今回はここまでにしておきます。
*1 遺伝子の場合、この異常を “変異” といいます。
*2 ADPKDの原因となる「尿細管の太さを調節する遺伝子」はPKD1とPKD2の2つあります。ADPKDでは、どちらかの遺伝子に変異が認められます。