eGFRのはなし(2)~糸球体ろ過量(GFR)とは~
2026/01/15
今回は、腎機能を具体的な数値として表す「糸球体ろ過量(Glomerular Filtration rate;GFR)」とはそもそも何なのかについて説明していきます。
※ 健診などでよく見るのは推定値の「eGFR」ですが、今回は「推定(e)」が付かないGFRそのものについての説明です。
■腎臓の大事な仕事は「ゴミ出し」
腎臓の一番大事な仕事は、体の中で作られた老廃物(ゴミ)を体の外に出すことです。
どうやって出しているかというと、まず腎臓に入ってきた血液中の老廃物(ゴミ)を「糸球体」でろ過します。
ろ過されたゴミは尿細管を通って、最終的に尿から排泄されます。

■糸球体は“ざる”の役目
糸球体は毛細血管でできていますが、ざっくり言うと、小さい物質だけを通す“ざる“みたいなものです。

ゴミは血液の中に溶けているので、ゴミだけで勝手に出ていくことができません。
血液からろ過される水分(尿の元になる水:“原尿”といいます)と一緒に“ざる”を通って出ていきます。
つまり、この“ざる”を通る水分が多ければ、その分ゴミもたくさん出すことができます。
逆に、この水分が少なければゴミは血液中に残ってしまいます。
結局、「“ざる”を通り抜ける量」が多いか少ないかによって、腎機能が良いか悪いかが決まるのです。
■GFRはすべての“ざる“の働きの合計
1つの腎臓には約100万個、左右合わせて約200万個の糸球体があります。
糸球体ろ過量(GFR)というのは、これら全ての糸球体(“ざる“)を通り抜ける水分の”合計“のことです。
少しイメージしにくいと思うので、「腎機能が正常な腎臓」と「腎機能が低下した腎臓」の糸球体を、それぞれ5つずつに単純化して比べてみます。

「正常な腎臓(左)」は、すべてニコニコ顔の元気な糸球体が5つ並んで働いています。
一方、「機能が低下した腎臓(右)」は、涙目の糸球体が2つあります。
この2つは、何らかの腎臓病によって“ざる”が傷んで目詰まりを起こしているため、それぞれの「ろ過量」が少なくなっています。
その結果、腎臓全体としての「ろ過量」、すなわちGFRが減ってしまうのです。
■GFRの数値の見方
この「糸球体ろ過量(GFR)」(全体)は、1分間にどのくらいの量の血液を”ろ過”できるかを表す数値です(単位はmL/分)。
正常では、年齢や体格によって幅はありますが、目安として1分間に70~100mL程度とされています。
ここでよく誤解されるのが、「100が“正常(満点)”で、70だと“70%しか働いていない”」という見方です。
GFRは「100点満点のテスト」ではありません。
背の高さに個人差があるように、腎臓の働きにも個人差があります。
GFRは100以上の方もいれば、健康であっても、もともと70くらいの方もいます。
したがって、今の数値を「何%」と考えるのではなく、あくまで「自分にとっての“持ち点”」として捉えてください。
数値そのものより、「これまでにどのように変化してきたか、今後どう変化していくか」という、ご自身の「推移」に注目することのほうが大事なのです。
次回は、「なぜクレアチニンではなく、GFRなのか?」について説明します。

