eGFRのはなし(6)~健診eGFRは低めに出やすい?~
2026/01/28
今回は、健診で腎機能検査異常(eGFR低下)あるいは尿検査異常などを指摘され、当院を受診された患者さんのデータを紹介します。
以下の方は、今回の解析から除外しています。
(1)すでに腎疾患を指摘されている方
(2)高血圧や糖尿病などで治療中の方(降圧薬や糖尿病薬を服用している方)
■解析対象
520人
(男性:187人、女性:333人、平均年齢:47.6歳)
下図は、年齢とeGFR値を男女別に示したものです。

40歳以上でeGFR60未満の方が多いことがわかります。
一方、eGFR60以上であっても、尿検査異常がある方や「eGFR低下のスピードが速い」などの理由で受診された方も含まれています。
■健診と外来におけるeGFRの変化
次に、これらの患者さんで「健診時のeGFR」が当院受診時(外来)にどのように変化したかを示します。
図は、患者さん一人ひとりの「eGFRの変化」を棒グラフで横に並べたものです。

▪オレンジの線:外来でのeGFRが、健診よりも上昇したことを示しています(線の長さ=上昇量)。
▪青の線:外来でのeGFRが、健診よりも低下したことを示しています。
この図を見ると、圧倒的にオレンジ色の線(上昇した人)が多いことが一目でわかります。
つまり、健診で「eGFRが低い」と判定されても、外来で再検査をすると、数値が良くなっている方が多いのです。
■健診と外来におけるeGFRの比較
では、全体としてどのくらい変化していたのでしょうか。

このグラフは「箱ひげ図」といって、eGFRの分布(ばらつき)を表したものです。
▪四角い箱:多くの患者さんのeGFR値がこの範囲に含まれます。
▪×印:全体の平均値です。
▪四角い箱の中の横線:全体の中央値(ちょうど真ん中の順位の人の数値)です。
ご覧の通り、分布の箱全体が上に持ち上がっているのがわかります。
具体的な数値で比較すると、以下のようになります。

外来でのeGFRは健診に比べて、平均値で「+5.3」も上昇していました。
このように、健診で「eGFR60未満(CKD疑い)」であった方の中にも、外来検査では60を上回る方が多くみられます。
つまり、「eGFRだけで判定すると」CKDの診断基準から外れる(あるいはステージが軽くなる)方が多い、という結果でした。
■なぜ、健診eGFRが低く出やすいのか?
実は、健診で「日本人用eGFR計算式」を使用していることがその要因の一つと考えられます。
次回は、この計算式の特徴について説明します。

