eGFRのはなし(8)~健診のeGFRに脱水がどのくらい影響するか~
2026/02/06
健診時には「脱水」になる傾向があり、そのためにeGFRが低めに出やすいことを説明しました。
今回は、当院の実際のデータをお見せしながら解説します。
■脱水を表す指標:血清浸透圧
「脱水」とは、体内の水分が減り、血液が濃くなっている状態のことです。
この“血液の濃さ”をみる指標のひとつが「血清浸透圧」です。
簡単に言えば、
▪低い(280未満):水分が十分で血液が薄め
▪高い(290以上):水分不足で血液濃縮(脱水気味)
というイメージです。
■実際にどれくらいの人が外来の検査でよくなったのか?
当院を受診した患者さんのうち、健診でeGFRが60未満だった方は520人中373人でした。
そのうち、163人(43.7%)もの方が、外来での再検査でeGFRが60以上に改善していました。
■水分状態(浸透圧)で改善率は大きく変わる
そこで、外来受診時の「血液の濃さ(浸透圧)」ごとにグループ分けし、「eGFRが60以上に改善した割合」を比べました。

(※棒グラフの上の分数:改善した人数/eGFR<60の人数)
▪血液が薄めのグループ(浸透圧280未満):70%以上の人がeGFR60以上に改善していました。この方たちはCKDの基準から外れることになります。
▪水分不足で血液濃縮のグループ(浸透圧290以上):改善した人は30%弱にとどまりました。
つまり、「浸透圧が低い(血液が薄め)ほど、eGFRが60以上に改善する確率が高い」ということが分かります。
■4つのグループのeGFRの変化
これらのグループで、実際にeGFRがどのように変化したのでしょうか。

▪外来で「浸透圧が低い」グループほど、健診に比べて外来でeGFRの上がり方が大きい傾向にありました。
▪一方、「浸透圧が高め(290以上)」のグループでも、ある程度eGFRは改善しており、健診当日はさらに脱水傾向であった可能性もあります。
■まとめ
このように、健診でのeGFR低下には、水分不足(脱水)が大きく影響している可能性があります。
次回は、「なぜ脱水になるとクレアチニンが上がりやすいのか」についてお話しします。

